俺自身も、ずっとここでライブできるヤツでいたい
武道館が「伝説もの」から「現実のもの」になってきた頃
吉川晃司は初めてそのステージに立った。
彼の中で成功の象徴であった武道館。
そこのコンサートを
幾度も成功させてきた人物だからこそ、その場所に対する思い入れは、深いのである。
かつて武道館でライブをやることがアーティストにとって「夢」であり「究極の目標」だった時代があったわけですが、吉川さんは、そうした「武道館神話」みたいな認識を持った最後の世代になるんでしょうね。
KK そうかもしれない。やっぱり特別な存在というか成功の象徴みたいな認識はもってましたね。武道館でやれたらOK、みたいな。海外でも武道館はかなり知られてるみたいで、向こうに行ったときに、「お前は武道館でやったことがあるのか」ってよく聞かれましたしね。多分向こうの人にしたら、それが一番わかりやすいものさしなんだろうな。
初めてかどうかわからないけど デビッドボウイは観に行った。憧れる人だったからね。うわー動いてるよ。っていう(笑)ちょうどそれまでのイメージとはガラッと変わって、ボウイがこざっぱりした恰好になった時期。それはそれで好きだった。まわりで文句言ってるヤツもいたけど、俺は感激した。
吉川晃司さんが初めて武道館でライブをやった時の感想は?
KK 僕の場合はデビュー時s手2年目の頭ぐらいに武道館をやっちゃったんだよね。だからそんなにありがたみがなかったという。ちょうど僕がデビューした頃って武道館が「伝説もの」から「現実のもの」になりつつある時期だったから結構にまわりの連中もやってたし。でもね、やっぱり嬉しかったよね。最初はやっぱり震えがきたんじゃなかったかな。
「ぶ、ぶ、武道館にたってるんですか、本当に?」っていう感じだった。音響がもうひとつだとか、色々言われてるみたいだけど、そんなことは関係ないよね。最初の頃はそんなことはあまりわからないってことこともあるし、ともかくこれでひとつクリアーしたなって気持ちがつよかった。でもその頃、しばらく出入り禁止の時期もあったんだけど。
客席に降りて、走り回ったりとか、ダメだと言われてることを、みんなやってしまった(笑)
やりまくってたらそういうことになってしまったいう。テレビの何とか大賞も新人賞も武道館であったんだけど車もらって、車の上に乗って歌ったんだよね。そしたら車がボコボコになってしまって、スポンサーも起ったし、武道館の人も怒ってた(笑)
武道館のあの超アナログなところが嬉しいな
やっぱり武道館は、武道館なんだよね。
東京ドームはお祭り的な要素が多いじゃない?イベントみたいな感じでやらないとできないことがあるから。その点ではコンサートの王者は武道館じゃないかな。ドームなんて、席によっては豆粒だもん。
音響のクオリティということだけでいうと、横浜アリーナなんかの方が断然いいだろうね。やっぱり武道館は古い建物だから。でもいいところもいっぱいある。
例えば建物の形がほぼ円形で、ステージから客席が近く感じられるということ。これは演る側からすると、実に大きな魅力だね。みんなが遠くない感じがするし、両サイドもギッシリ詰まってて、あの感じはいいよね。
僕はどっちかというとホールだと狭すぎると思う方なんで、武道館なんかでも走り込みをいっぱい作ってもらっているようにしているけど。
普通みんな、ステージが広いと疲れるというんだけど、僕の場合は狭い方が疲れるんだよね。でかいステージの方が全然好きだからさ。たださっきもいったけれど、武道館がコンサートをやる上のマキシムって感じだね。あれ以上大きくなると、じっくり聴くというニュアンスとはまたちょっと違ってくるから。
武道館のコンサートでも、特に印象にのこっているのは、いつどのステージということになりますか?
KK やっぱり初めての時の印象は強烈だったよね。あとは、前に所属していた会社をやめるってことになった時に、一年間活動を休まなければならないことになって、その区切りのライブを武道館でやったんだけど、あれはファンの人にとっても印象深かったと思うよ。そのライブ直後からしばらく海外に行ってぶらぶらしてたから、あのままやめてしまうんじゃないかと思った人もいただろうし。その時のライブも気合い入ってたしね。感傷にふける感じではなくて、よっしゃー、次に何をよろうかなっていう、そんな意気込みも入りつつだったと思う。
周りはどちらかというと空気が重かったんだけど、僕一人がへらへらしてたような。色々な意味で、武道館のライブっていうのは、自分にとって大きな位置を占めてることは、間違いないね。
武道館そのものへの現在の思いっていうとどんなことですか?
KK やっぱり変に改造したりせずに、色々な歴史を抱きつつ、あのままの姿で居続けてほしいってのが、一番の気持ちだな。それと僕自身も、ずっとあそこでライブできるヤツでいたいですね。
0コメント